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青色申告特別控除65万の適用要件が変わりました

令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除が変わりました。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h32_kojogaku_change.pdf

 

●令和元年分以前

令和元年分まで、青色申告特別控除は65万円控除と10万円控除の2種類でした。65万円控除を受けるには、

(1)正規の簿記の原則で記帳(複式簿記)

(2)申告書に貸借対照表と損益計算書などを添付

(3)期限内申告

の3つの要件を満たす必要があり、この要件に該当しない場合の青色申告特別控除は10万円でした。

 

●令和2年分以降

令和2年分からはこの65万円の控除額が55万円に減額され、基礎控除が38万円から48万円に引き上げられる措置がとられています。したがって、青色申告特別控除と基礎控除の合計額は従前と変わらず103万円となりますが、ある要件をみたすことで合計113万円の控除を受けることができます。

※なお、10万円の青色申告特別控除については改正されていません。

 

●合計113万円の控除を受けるための要件

これまでの3つの要件に加えて、

(1)e-Taxによる申告

(2)電子帳簿保存

のいずれかを行うことで、55万円ではなく、引き続き65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

 

●電子帳簿保存制度の適用を受ける場合の留意点

電子帳簿保存制度の適用を受けるには、帳簿の備付けを開始する日の3か月前の日までに税務署へ申請書の提出が必要です。

※原則として課税期間の途中に適用することは出来ません。

令和2年分に限っては、事後承認が認められています。具体的には、令和2年9月30日までに承認申請書を提出し、同年中に承認を受け、同年12月31日までの間に仕訳帳及び総勘定元帳の電磁的記録による備付け及び保存を行う必要があります。

 

●まとめ

国税庁の調べによると、e-Taxの利用率は平成30年度において約60%で、残りの約40%は依然として紙面で申告書等が提出されているそうです。また、紙の帳簿についても、使い道が少ない割りに意外と場所を取るため、保存場所に困っている方も多いと思います。これを機に、e-Taxによる申告や、電子帳簿保存に切り替えてはいかがでしょうか。

 

電子帳簿保存制度の適用を受けるための手続きなど、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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「翌期の費用の前払い」が今期落とせるとは限らない①

●翌期の費用を前払いすると経費で落とせる?

「翌期1年分の費用を前払いすれば、払ったときに経費で落ちて節税になりますよ」という話を税理士から聞いたことがありませんか?「短期前払費用」といって、公式に認められている手法ですが、意外に勘違いが多く、実は落ちないケースが多い論点でもあります。

さて、3月決算法人の以下のケースには、今期の費用で落ちないものが一つ含まれています。どれでしょうか。
① 翌期1年分(4月~3月)の家賃を3月末にまとめて支払った
② 4月分の家賃を3月末に先に支払った
③ 4月15日の宿泊代を3月末に先に支払った

●「前払費用」と「前渡金(前払金)」の違い

言葉は似ていますが会計的には明確に区別されています。

「前払費用」とは、「継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、事業年度終了時点でまだ提供をうけていない役務に対応するもの」です。いわゆる「経過勘定」と呼ばれるもので、時の経過とともに費用化していくのが原則です。
(具体例:リース料、保険料、支払利息 など)

一方の「前渡金(前払金)」は、商品代金や一時の役務を受けるための代金を先に支払ったものをいいます。
(具体例:仕入代金の前払い、外注加工費の前払い、ホテルの予約金 など)

対象の役務提供を受ける時期について、具体的にいつというわけでもなく一定期間継続的に提供を受けるものと、時期が特定できるもの、と区別していただくとわかりやすいと思います。

●回答

「短期前払費用」の通達は「前払費用」であることが前提です。
その上で、1年以内の費用かつ継続処理を条件に、支出時に費用処理することを認めています。

以上からすると、③4月15日の宿泊代は、「前渡金」に該当しますので、「短期前払費用」には該当せず、今期の費用で落とすことはできません。

翌期の費用を前払いしたものの、「落ちると思っていたのに落ちない!」ということがよくあります。事前に税理士によく相談してから検討するようにしてください。

(参考)法人税基本通達2-2-14 短期の前払費用

前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加、昭61年直法2-12「二」により改正)

(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。

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副食費の勘定科目は? 社会福祉法人会計

令和元年10月より幼児教育・保育の無償化がスタートしましたが、これに伴い、保育所等において「副食費」を徴収するようになりました。
令和元年度決算においては、この「副食費」を受け取ったときに、どの勘定科目を使えばよいか頭を悩ませた経理担当者も多かったのではないでしょうか。
内閣府公表の「公定価格に関するFAQ(よくある質問)」にて以下の通り回答があります。

No.148
【事項】 委託費の経理
【質問】 教育・保育の無償化に伴い、施設が徴収することとなった副食費について、社会福祉法人会計基準上、収支計算書、事業活動計算書においてどのように区分するべきでしょうか。

【回答】
主食費などと同様、施設により徴収する費用であることから、
・資金収支計算書については、
大区分)保育事業収入
中区分)利用者等利用料収入
小区分)利用者等利用料収入(一般)
・事業活動計算書については、
大区分)保育事業収益
中区分)利用者等利用料収益
小区分)利用者等利用料収益(一般)
となります。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/faq/pdf/kouteikakaku/zenbun14.pdf

なお、「法人所管市町村において現在これと異なる取り扱いとしている場合には、令和元年度の決算書類は従前の取り扱いによって差し支えない」とされているため、会計処理に当たっては、所管市町村から異なる指示がないかどうか、念のため確認したほうが良いものと思われます。

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新型コロナウイルス関連情報-税務上の取扱い3

国税庁HPで「法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ」が公開されました。個別延長が認められる場合についての説明や、延長した場合の期限、個別延長の手続などが説明されています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-044.pdf

社内に感染者が発生したケースのほか、以下のような方が社内外にいることにより期限までに申告が困難な場合には申告期限の延長が認められます。

①体調不良により外出を控えている方がいること

② 平日の在宅勤務を要請している自治体にお住いの方がいること

③感染拡大防止のため企業の勧奨により在宅勤務等をしている方がいること

④感染拡大防止のため外出を控えている方がいること

なお、自社だけでなく、例えば取引先において上記のような方がいることにより、自社の決算業務が滞る場合も該当します。

秋田は現時点において緊急事態宣言の対象地域ではありませんが、コロナウイルスの影響で決算業務が思うように進まないケースも想定されます。お困りの場合は、GSPartnersにお気軽にお問い合わせください。

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新型コロナウイルス関連情報-税務上の取扱い2

早ければ明日、緊急事態宣言が発令される見込みとの報道がされていますが、国税庁より確定申告等の期限について以下の通り発表がありましたのでお知らせします。

国税庁公表資料

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-021_01.pdf

①申告期限・納付期限

・所得税 4月16日(木)⇒4月17日以降も可

・消費税(個人) 4月16日(木)⇒4月17日以降も可

・贈与税 4月16日(木)⇒4月17日以降も可

②振替納付日

・税務署から個別に連絡

③各種届出書、申請書の提出期限

・個別に期限延長の対応

④個別延長の手続

・延長のため、申請書等を提出する必要はなし

・申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と付記

⑤留意点

・申告日=納付期限となる(振替納税の場合の納付日は、②の通り個別対応となります)

不明点等ありましたらお気軽にGSPartnersへお問い合わせください。